相談事の来客
 

 1つは、私の相談にのってもらう案件で訪ねていただいたのだが、予期せぬ噂を聞かされ、銀座4丁目の鳩居堂事件を思い出し、膝を乗り出した。バブル時代に銀座4丁目の地価が途方もない日本1になった。その時に、鳩居堂のオーナーは飛び降り自殺をした。大岡越前のような考えができる人がいない悲劇である。

 京都の四条通りは今や、瓦屋根低層建物(の老舗の店舗)は1軒しか残っていない。だが、その最後の1件が風前の灯火になっている。周りは次々とアパートなどのビルに建て替えられ、その都度地価が高騰し、固定資産税柄高騰している。由緒ある商いをしていたのでは高騰する固定資産税を払えなくなり、持ちこたえられない。高層建物に立替えて、家賃収入などを稼がないと、立ちゆかない。

 かくして老舗の瓦屋根店舗が消え、街並みの破壊を進める。だが、京都の税収を増やし、GDPを増やすことに結び付く。そのどちらを選ぶのか、良しとするのかの問題である。

 パリを始めとする心ある町は、こうした破壊を街ぐるみで予防し、未来世代も観光収益で暮らせるようにして来た。こうした街が世界文化遺産として登録されつつある。なぜか日本は、架空との言うべき目先のGDPに惑わされ、文化遺産を消し去っている。

 私なりの想いを語ったが、手遅れになりそうだ。

 つぎの一件は、京都市の道路工事が原因で最寄りの店舗が被害を被った。だが、工事の業者はもとより、京都市もまともには取り合ってくれない。いかがなものか、と悩む婦人を伴った友達の来訪と、当事者からの相談だった。
 
 詳しく聴くと、女性の訴え方がソフトであっただけでなく、切り込み方が拙かった。関係者の保身との戦いにしていたからだ。今から可能な仕切り直しのやり方を伝授した。その効果のほどは後日明らかになるだろう。

 案内に立った友人とは、私が敬愛する今関信子先生だった。「この1枚のチラシを届けたくって」と同道願えたし、後日新著を送っていただけた。

 三件目は、親の代から顔見知りの女性の相談事だった。この一件では、茶を運んだ妻も半ば一緒に加わった。おかげで、2つのありがたい結果に結び付けられた。
 
 まず、この女性は、いつものごとくに切り出し、いつものごときクセ(?)を露わにし始めた。そこで、心を鬼にして「勝手にせい!」と癇癪玉を爆発させた。ありがたいことに、彼女は引き下がろうとはしなかった。そこで、「明晩、出直してほしい」と頼んだ。彼女はひき取った。見送りを終えて戻って来た妻は「お見えになるでしょうか」と心配した。是非もない。だが、翌晩、彼女は電話の上、指定の時間通りに来訪し、再会できた。

 開口一番、「私は、あなたを大事に思っています。だからあなたを守ろうとしています。ところがあなたは、あなたが記したメモにこだわり、メモを守ろうとしています」とまず言いたかったことを言葉にした。次いで[大事なことは、あなたの立場をどうすれば守れるかではなく、この問題に手を携えて取り組むことではありませんか」と、訴えた。

 もちろん彼女にも気づいてもらえたが、成り行きを横でみていた妻にも気づきがあったようだ。その後、夫婦のぶつかる頻度が減ったように思う。

  

この1枚のチラシ

後日新著を送っていただけた
   

 

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