よき朝になり

 

 シーンと静まり返っていた。小用の折に時計を見ると3時前。1時間ほど前の2時ごろまでは夏虫が賑やかであったはず。「久しぶりダなぁ」と、ベッドに横たわり直しながら思った。早寝が続いていたオカゲで、この静寂が逆に目覚めを促せたようだ。物音一つしなかった。

 4時30分丁度にヒグラシが鳴き始めた。数分後に小鳥がさえずり始める。なぜかこの時に、病院で楽しんだ「深夜便」を思い出した。だがこのところは、モーツアルトさえ聴こうとする気が生じていなかったことに気付いた。

 うたた寝から再度、4時50分に目覚め直すと、なんと賑やかなこと。アブラゼミと、このところ急に増えたクマゼミが合唱に加わり、耳をつんざくばかり。さえづる小鳥の種類も増えた。

 「マツムシは、やはりいなくなったのかなぁ」と思ったり、大昔にいなくなった「クツワムシ」、当地では最大の夏虫を偲んだり、「キリギリスがこの夏は増えた」と喜んだりしながらまどろんだ。

 この楽しみは、この夏から、草刈りを控える場所を3か所設けたが、そのおかげもありそうだ。その一か所、寝室の北隣の裏庭(北西の角)が賑やかだ。ここは、コゴミ、ウド、イラクサ、そしてワラビの山菜畑であり、ミョウガもこここで育てたい、と願っている。

 次は、庭の南面に沿った帯状地。ここは、フユウガキ、シダレウメ、アメリカハナミズキ、自生のツバキ、そしてウルシなどに加え、ビワとイチジクを育ては始めている。

 もう1カ所は新果樹園だ。しかし過日、この新果樹園は候補地からはずして、草を刈り取った。ここは「堆肥の山」を設ける場所でもあり、肥沃なために、野草だけでなく、シュクコンソバやセリなどがあまりにも大きく育ち過ぎる。そしてサル除けの電柵にまで絡みつき、漏電させやすい。その電柵にからんだヤブガラシなどのツルを2日に挙げずに取り払うか、草を刈り取ってその頻度を1週間に一度にするかの選択だった。

 これら3か所の草刈りを控えた理由は、小動物が棲みつきやすい庭にするためであった。昆虫やカエルを増やし、かつてのようにヘビを増やしたかった。キジやヤマドリがヘビを捕りに訪ねる庭に戻すのは夢の夢としても、ヤマバトが営巣し、コジュケイが餌場にするぐらいの庭には戻ってほしい。そうすることが、心身の健康に役立つように思われる。その正否は、いずれ免疫学の権威に質したい。

 この願いは、寝室の北隣、庭の北西の角で功を奏し始めたように思う。ここは、ホウバの採取と、いざという時の万能薬・キハダを2本育てている。また、泉と呼ぶ水場と、実はカエルのプールもある。そのおかげかどうかは分からないが、毎年この時期になるとミヤマカワトンボが舞う。そして、夏虫が賑やかになったことに間違はない。寝室の南隣にはムベの棚があって、その下はシイタケのホタギの伏せ場になったいる。ここも夏虫好みの場になっている。

 5時10分。再度静寂になった。時々、小鳥の鳴き声がするが、夏虫は一斉に鳴きやんだ。

 よい朝だ、と思った。
 

クマゼミ
 
   
   

 

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