よき触れ合い

 

 素晴らしい職人魂だった。フロー型の社会ではなく、ストック型の社会にすべきだ、との意識に満ちている人のように見た。そこで、仕事が終わった後、時間をもらった。

 喫茶のテーブルで待っていると、弟子が先に来て、通路側の席ではなく、私の前の席に座った。そこで、「あなたは、いい親方に恵まれましたね」と話し掛け、同じような内容を角度を変えて3度語った時に、その青年はやっと首を縦に振り、得心しているそぶりを示した。

 すかさず、「ならば、キミはそっちに座れ」と、強い口調で通路側の席を勧めた。

 その後、しばらくして、遅くなったことを詫びながら親方に来てもらえて。この間に若者と、その後は親方と、幾つかの会話を重ねたうえで、

 「親方は、良い弟子に恵まれて幸せですね」と問いかけた。

 なんと、「息子です」との返事だった。しばし、2の句を継げなかったが、とても幸せな気分になった。そして、親方と中身の濃い会話を重ねることもできた



 
 
 

 

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