縞の尾ッポを振っていたように見えた

 妻に随分付き合わさせた月曜日の夕刻、まず妻が「ネコかなア」と叫んだ。ネコでないとすると、あまりにも大胆な出没時間だった。その後も私は1人で畑仕事を続け、引き揚げた。すっかり暗くなっていた中庭まで戻ってくると、猫より大きな動物が脱兎のごとく逃げ去るのに遭遇した。

 翌朝、水鉢の1つが乱れていることに気付かされ、スイレン鉢を取り出して確かめると、2匹入れていたキンギョが見当たらない。あの脱兎のごとく逃げ去った動物が戻ってきて、捕ったに違いない、と思った。

 それはともかく、この期をいかして水鉢を掃除しよう、となった。スイレン鉢を取り出し、水をかいだし、水鉢を掃除した。そして水道水を満たし直し、スイレン鉢を戻すと、なんとそのスイレンの下から金魚が1匹泳ぎ出した。それは、村上夫妻にもらったキンギョの1匹だった。「さすが」と感激した。盗られた方は、わが家でボケーっと育った真っ赤なキンギョだったが、もらった方は違う。

 わが家の方は、それまではボウフラ退治にさえあたっておれば、補充の餌を与えられる怖いもの知らずの育ち方であった。もらった方は違った。何でも、熱帯魚の餌として育てられていた時期があったらしい。とても愛おしい存在になった。

 この1匹を見逃したケモノがいたわけだが、「このアライグマであったのかなあ」と思いながら見逃した。アライグマは、両手を合わせてモノを洗うような格好をする。それが私には手を合わせて拝んでいるように見えた。
 

水鉢の1つが乱れていることに気付かされ
 

 

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