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アモクとマルチハビテーション  08/07/20

 この2週間は京都の最も暑い時期でしたが、その間にあって、私にとってつかの間の極楽がありました。ジェニーが留守をした土日です。屋内をパンツ1枚でウロウロ出来ましたし、イカルとセミが鳴き始めたからです。知人の友禅染め作家が、両日ともに11時頃から丸12時間にわたって、ジェニーを連れだし、世話を焼いてくれたのです。

 この間に、私は先週の強烈な思い出を振り返りながら、汗みどろになって記念の庭仕事をしています。シャクナゲの移植です。振り返った思い出とは、先週末の商社時代の仲間との飲み会の最中に思い出したことです。それは過日乗った山手線の車両と、野田正彰さんの「アキバ系アモク」と題した一文です。野田さんは、秋葉原無差別殺傷事件をとりあげて、近年の日本の冷酷なありように警鐘を鳴らしています。思わず膝を打ちました。

 日曜日の夜は、ジェニーを連れ戻った友禅染め作家の一家と、アイスティー一杯で半時間余り歓談しました。この作家は東京から外資系企業に勤めるお嬢さんを呼び寄せ、通訳に当たらせました。私が記録を取らないジェニーを心配し、「記憶と記録は大きく異なる」と注意を促しますと、彼女は「人生に大きな差を生じさせる要因」と言ったような伝え方をしました。

 その夜、ジェニーは「明朝は、食後すぐに作業を始めたい」と妻に言って自室に引き揚げ、遅くまでかけて7点目のデザイン画を描いたようです。翌朝は8時50分から、昼食の小1時間を除いて課題に取り組んだようで、妻は昼寝の時間を与えました。結局19時まで頑張ったようです。

 食事は、イカ、タコ、頭の付いた魚を避けただけで、わが家の常日頃のメニューに従わせました。郷に入っては郷に従えではありませんが、異文化に馴染もうとする心が国際化の第一歩、と思うからです。7時半起床を義務づけましたが、それは寝坊の習慣がある、と見たからです。「19歳なんだから、そんなものだ」とジェニーに助け船を出す友がいましたが、緩めませんでした。

 17日は妻にとって記念すべき日になりました。私たち夫婦は、昼食をとりながら山鉾巡行を眺める招待を受けたのですが、京都に嫁いで25年目の妻にジェニーを案内させたからです。私は、中国の留学院生から修士論文の中身を詰める打ち合わせに呼ばれていたのです。その夜は、与えたカリキュラムに見通しを立てたジェニーを連れてフレンチレストランにでかけ、翌18日の夜は、アイトワ塾の皆さんにお世話を願っていた庭のバーベキューパーティを開きました。

 週末、ジェニーは部屋を掃除し、ベッドのシーツを変え、昼過ぎに去りました。妻は6ペイジにわたる「研修の結果と評価」を作成し、写真を添えて持ち帰らせました。異国の他人に娘を託した親の期待に、どこまで添えたのか。少し不安が残るところです。

 そんなわけで、庭仕事はほとんど進まずじまいでした。記念の庭仕事の他は、温室の水やりを欠かさずにしたことと、義妹がくれたキュウリの苗を植え付けたぐらいです。妻はついに、アイトワと名乗りを上げて以来、1体も人形を作らない1ヶ月の創作休暇になりました。でも母屋を片付ける機会になり、来客を受け入れるのがとても便利になった、と妻は喜んでいます。

 この間の来客は1組で、神戸時代の部下が弁護士の夫と結婚25周年旅行で訪ねてくれました。この2人は、マルチハビテーションを実践していました。他に、馴染みの職人さんに、夏休み中に片づけてもらいたいことがあり、尋ねてもらっています。ホームビルダーを目指している青年が土日を割いてくれたのです。ジェニーがらみでない外出は3度で、大阪での講演と2つの大学訪問でした。大阪に出かけた日は陳さんと落ち合い、昼食を共にしました。かくアイトワの夏休みは終わり、週の半ばから鳴き始めたニイニイゼミとヒグラシが賑やかです。


 
週初めにナスビの収穫が始まりました。週末には5つも採れ、バーベキューパーティーに用いました。

ニガウリやヘチマがここまで育ちました。次週には、棚の広さを2倍に広げようと思っています。

留学生の修士論文の進行過程で、意見を求められました。雲南省の少数民族調査に参加してきた仲間のうち、5人が参加しました。

ジェニーが創った人形と着付けた衣装です。彼女の好みが如術に出たようです。妻はジェニーに、併行作業をさせながら、2週間でここまでたどり着かせました。ジェニーの弱みを補強しながら、強みを生かし、やり遂げる喜びに気付かせたかったようです。

カリキュラムをなんとか消化し、見通しを立てたときに、ご褒美にフランス料理の夕食をご馳走しました。アイトワに娘を送り込んだ親御さんの、これは期待に反するもてなしではなかったかもしれません。しかし、カリキュラムをなんとか消化させる上で必要と考えたようです。

蚊がたくさん飛んでいたバーベキューパーティでしたが、ジェニーは超ショートスカートで参加し、蚊取り線香や噴霧器の世話になっていました。また訪ねてくれそうですから、そのときに、ファッションの奴隷になってはいけないよ、と教えようと思います。

庭で露草が咲き始めました。友禅染作家の間ではが「地獄花」と呼ぶ人がいるようです。この花びらの汁(アオバナ)で、友禅染の下絵を描くそうですが、花びらの汁に花粉が入ると使えなくなるとか。朝早く起きて「おしべ」を速やかに取り去る必要があったのでしょう。ジェニーはこの技術を今も伝承する3人の1人から学び、この花がわが家にあると聞かされながら、ついに「見たい」と言いませんでした。
 

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