メダカより賢くなりたい 04/07/26

 わが家には玄関を中心にして幾つかの水鉢があり、夏になるとクワイや睡蓮などの水生植物が茂り、清涼感をかもしだしてくれます。晴れた日は、3リットルのジョウロ数杯分の水を補充させますから、気化熱の関係で一帯を相当涼しくしていることでしょう。

 問題は蚊の発生源になることです。だから金魚やメダカを棲まわせましたが、それが新たな問題を生じさせました。金魚やメダカが死んだことに気づかずに、ボウフラを好き勝手にわかせてしまう問題です。もちろん気づけば急いで鉢ごと傾けて水を捨て、ボウフラを干からびさせますが、それまでに蚊をそうとう発生させていたに違いありません。

 魚はなぜ死ぬのか、と考えました。いつも金魚が先に死ぬことに気づき、水温が異常に高くなるからではないかと推察しました。そこで水鉢の周りに鉢植えの木を配して木陰を作ると、効果はてき面でした。それでも金魚やメダカが死ぬことがあります。そうなると水生植物だけでなく木陰まで作ったものですから魚が死んだことに気づきにくく、水鉢をボウフラの養殖場にしかねません。そこで、金魚やメダカを多めに棲まわせ、1匹や2匹が死んだぐらいでボウフラの天国にならないようにしました。それでも目出たし目出たし、とは行きませんでした。

 こうした試行錯誤を繰り返しているうちに餌の問題などもからんでいることが分かりました。同時に、その過程で、水鉢がとても望ましい状態になっていた時期があったことにも気づいたのです。鉢の大きさや日陰の具合などによって異なりますが、水は濁らず、植えてある植物だけでなく魚も生き生きした状態が長期にわたって続いていたのです。

 温室には大きな水槽があります。そこでは常に10数匹のメダカが元気にしています。ときおり水を補充し、年に一度水草を爪で刈り取るだけですが、水は濁らず15年来とても安定しています。メダカの数が増えたかと思うといつの間に減っています。恐らくメダカの数が増え過ぎると沸くプランクトンや蚊が産み付ける卵などの餌が不足気味になり、ブレーキがかかるのでしょう。きっと自分たちの卵も食べているに違いありません。ビオトープとは、こうしたバランスのとれた状態が持続する生活空間を指しているのでしょう。小さな水鉢では、一匹のメダカが死ぬまで2年近く安定した状態が続いたことがありますが、これはビオトープといえないでしょう。

 過日、菜園家族の集いでお世話になった学生の訪問を受けました。その折に、エコライフガーデンが目指していることを手短に説明する必要が生じました。そこで、「メダカがもう少し賢ければ」と、水鉢を例に引いたのです。「この大きさでも」と、メダカを4匹ほど入れている水鉢を指差し、「もっと多くのメダカが棲むビオトープにできるはずです」とつないだのです。たとえば、蚊が産み付けた卵を競って食べてしまわずに、しばらく辛抱して待ち、食べごろのボウフラに育ったところで分かち合えばよいはずです。鎖国をしていた頃のわが国では、里山などを用意してそうした生き方を可能にしていたといいます。里山は、手つかずの自然よりも、より多くの動物を扶養する豊かな2次自然であり、その恩恵に人間がよくしていたようです。

 考えて見れば、地球自体が一つのビオトープでしょう。地球人口63億人を十分に生かし得る食糧が獲れているのに、今日では南北問題という扶養問題まで深刻にしています。それは、地球上で最も強い国が、地球のバランスを崩し兼ねない生き方を改めず、力ずくで推し通そうとしているからではないでしょうか。だからその愚かさに勘付いた人が、命がけで警鐘を鳴らし始めたのではありませんか。エコライフガーデンはそんなことに想いを馳せたり、それぞれの生活空間をビオトープとして生かす大切さに気づかせたりする空間を目指しています。

居間の前にあり、スモモが木陰をつくる水槽です。半年ほど前から安定した状態が続いています。水面にはミニ睡蓮と浮き草が、水上には数本の小さなクワイが、そして水中には水草や藻が見えますが、それらの陰で金魚やメダカが見え隠れしています。でもこのバランスがとれた状態はいずれ終わります。金魚を一匹しか入れていませんし、産卵にくる蚊などを狙ってカエルが住み着いたからです。

玄関を出たところにある少し大ぶりの水槽です。クワイと浮き草を茂らせ、庭木や鉢植えの木で日陰を作っていますが、水面にアクが幕を張ったような状態になりがちです。雨が当たらないのがよくないのでしょうか。毎日ジョウロの水を注ぎ込み、アクをあふれ出させていますが、金魚は死に、メダカだけになってしまいました。
これも玄関前にあって雨は直接あたりませんが、水質は安定しています。水面の三割りがたをミニ睡蓮と浮き草が覆い、木陰を作る鉢植えの木と一緒になって水温を下げています。雨が時々吹き込んでいます。この鉢では2匹のメダカが、蚊が産み付ける卵をたいらげているようです。
玄関前の雨にあたるところにある水槽です。スモモの木陰になっていますし、小さな鉢ですから年々クワイが小さくなっています。一月ほど前からカエルが一匹住み着くようになりました。蚊は、カエルにとっては大切な餌ですから、私たち夫婦は目の敵にはしておらず、適度に棲み分けたいと想っています。

母屋との間の日当たりのよい所にある水槽です。義妹が創った少し大ぶりの水槽ですが、小型の蓮とクワイを茂らせ、鉢植えの木に木陰を作らせています。ここでは金魚が長生きしており、今ではわが家で2番目の大きさになりました。泉に一番大きいのが棲んでいたのですが、イタチかネコかに捕られてしまったからです。いつもわが家では、10匹200〜300円ぐらいの和金の子を買って来て育てています。

人形展示室の壁際にある水槽です。これも義妹の作品ですが、最も日当たりがよいところにあり、山椒とモミジの鉢植えに日陰を作らせ、水面をミニ睡蓮におおわせています。1ヶ月ほど前にボウフラの天下になっていることを知り、干し上げたうえで、金魚とメダカを各3匹入れました。それぞれ2匹が生き残り、バランスがとれた状態を保っています。

人形工房のピクチャーウインドウの窓先に10年前に甕(かめ)を埋め込みました。側にあった小さな池を枯らすという失策を犯し、野生の獣の水飲み場をうばったからです。その時に、1株のミニ睡蓮の鉢と金魚を1匹入れたまま放ってありますが、金魚にとっては住み心地がよいのか、今では庭で一番大きく育っています。小鳥が水浴びをする姿もよく見かけます。
 

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